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エッセイ  - てだこの街で七転八倒(2)
てだこの街で七転八倒
- 第2回 -
  松本哲治
(NPO法人ライフサポートてだこ代表)

1967年10月19日浦添市生まれ。 大学卒業後、東京にてサラリーマン。 その後、カリフォルニア州立大学バークレー校にて社会福祉学修士課程終了。
帰沖後、医療法人仁愛会(浦添総合病院、介護老人保健施設アルカディア等)にて勤務。
2002年、NPO法人ライフサポートてだこ設立。現在、代表を務める。

一人ひとりの笑顔のために

去る10月28日(土)に地域のお祭りに参加した。城間松明(グスクマ テービー)大綱引き、と言う名の小さなお祭りだ。

この祭りは、戦前から伝わる城間地区伝統の祭りだったが、戦争末期の昭和19年に途絶えてしまった。それをサンパークてだこ通り会と城間自治会とによって、平成4年から復活されたものである。那覇ハーリーやてだこ祭りのような大きなお祭りもにぎやかでいいけれど、こんな地元の小さな祭りも別な意味でいい。何より、自宅から近く、古くからの顔なじみに会えるのがいい。

介護を要するお年寄りの中には、お祭りに行きたくても行けない方もいる。でも、本人が行きたいと望み、僕らが何とかお手伝いすることでそれが実現できるのならこんなうれしいことはないと思う。

それで、今回はデイサービスを利用している方をお連れした。主催者側もいろいろ気使いしていただいて、車を交通規制区域内まで入れてくれたり、本部席横のいい場所を確保していただいた。本当に感謝である。

普段はお酒を厳しく制限されている方も、生ビールをおいしそうに飲みながら祭りを楽しんだ。僕らもいつも一生懸命しているやっているつもりでも、やっぱり、祭りに来てお酒を飲みながらエイサーを目の前で見ると、彼はいつもとは違う満面の笑顔である。

彼は少し酔っ払いながら最後のカチャーシーを踊るために立ち上がり輪の中へと入っていった。彼が転ばないようにと気を付けながら、横に並んで見る彼の笑顔はたまらないものだった。

僕らの仕事は、一人ひとりの小さな笑顔を実現していく延長線上にある。地域活性化や福祉の発展、住民意識向上などの大きなことも、結局は目の前の人一人ひとりの笑顔と感動の積み重ねでしかない。これからもゆっくりでいいから地道に一歩づつ歩いていこうと改めて感じさせていただいた夜だった。

お祭りの関係者各位へこの場を借りてお礼申し上げます。素敵な夜をありがとう。

 
掲載:2006/10/30

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